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メキシコに住んでいても見えない巨大産業、電子・電気機器輸出134%増の中身?

9月1日
読了時間: 5分

メキシコシティに住んでいると、メキシコ経済の大きさは毎日目に入ってくる。


レストラン、ショッピングモール、Uber、Mercado Libre、住宅、広告、車、人の流れ。けれど今回、貿易統計を見ていて、自分が普段見ているMexicoとはかなり違う顔が出てきた。


2026年7月、メキシコの電気・電子機器の輸出は前年同月比134%増と報じられた。134%という数字も大きい。でも、それ以上に気になったのはもっと単純なことだった。Mexicoって、そんなに電子機器を作っているのか? 一体、何を作っているんだ?


Mexicoに住んでいても見えなかった、もう一つの巨大産業

Mexicoの輸出産業というと、自動車や自動車部品のイメージが強い。実際、それは重要な産業だ。ただ、Secretaría de EconomíaのData Méxicoを見ると、2026年第2四半期の「Electrical, Electronic Equipment」の輸出額は約313.99億米ドルに達している。州別ではChihuahuaが約60.92億ドル、Baja Californiaが約56.79億ドル、Jaliscoが約52.27億ドル。上位3州だけでもかなりの規模だ。


面白いのは、この巨大産業がMexico Cityの日常からはほとんど見えないことだ。CDMXで暮らしていると消費市場はよく見える。でもTijuanaやCiudad Juárez、Chihuahua、Jaliscoの工場で何が作られ、何が米国へ向かっているのかは、普通に生活しているだけではなかなか見えてこない。


134%増。でも「半導体大国になった」という話なのか?

ここで少し注意が必要だ。「電気・電子機器」という言葉を見ると、半導体やスマートフォンをMexicoで大量生産しているようにも聞こえる。でも、このカテゴリーはかなり広い。コンピューター、通信・計測機器、電子部品、電気機器など、さまざまな製品が含まれる。

Baja California州政府の2026年第1四半期の資料では、電子産業に加えて、コンピューター・通信・計測機器、医療機器、部品・専門機器などが輸出を支えている。コンピューター、通信、計測、その他電子部品・アクセサリーの製造だけでも約42.97億ドルの輸出だったとしている。


つまり、Mexicoの電子輸出は、私たちが家電量販店で見るような完成品だけの話ではない。北米の製造ネットワークの途中に、たくさんの工場、部品、機器、工程が存在している。


輸出しているのに、集積回路は輸入している?

ここでData Méxicoの電子集積回路のデータを見ると、別の景色が出てくる。時期によって数字は変わるが、2026年6月には集積回路の輸入が輸出を大きく上回っている。


すると疑問が出てくる。電子・電気機器をこれだけ輸出しているのに、その中に使う集積回路や部材の一部は海外から入れている。ではMexicoは何をしているのか?


統計だけで、どの半導体がどの工場に入り、どの製品になって再輸出されたかまでは追えない。ただ、Mexicoを「すべてを国内でゼロから作る国」と見るより、世界から部材や機器を取り込み、製造・加工・組立・統合し、北米を中心とした市場へ送り出す巨大な製造拠点として見る方が実態に近そうだ。


面白いのは「何を輸出しているか」だけではない

ここまで調べて、私が一番気になったのは輸出額そのものではなくなった。これだけの工場が動いているなら、その工場は毎日、何を買っているんだろう?


センサー、検査・計測機器、精密部品、素材、製造設備、保守、ソフトウェア、物流、品質管理。もちろん全部が不足しているわけではないし、日本企業なら何でも売れるわけでもない。ただ、Mexicoが大量に作り、大量に輸出しながら、同時に海外から多くの部材や技術を取り込んでいるなら、「Mexicoで何が足りていないのか」を調べる意味はかなりある。


完成された産業だからチャンスがある、というより、巨大な産業が動いているのに、そのすべてを国内だけでは完結できない。その不完全さの中に、外から入れる会社の余地があるのかもしれない。


たとえば、日本のセンサー会社だったら?

仮に日本で工場向けセンサーを作っている会社がMexicoを検討しているとする。その会社にとって、Mexicoの人口が何人いるか、Roma Norteで何が流行っているかは、あまり重要ではない。


知りたいのは、ChihuahuaやBaja Californiaに自社製品を使いそうな工場が何社あり、どんな製品を作り、どんな設備を使い、誰から調達しているのか。現地に競合や代理店がいるのか。そもそも自社製品で解決できる問題があるのか、ということだと思う。そこまで見えてくると、「メキシコ市場」という大きすぎる言葉が、具体的な州、産業、会社、そして顧客候補に変わっていく。


メキシコシティに住んでいるからこそ、見えなかった

今回の数字は、Mexicoに住んでいる自分にとっても少し意外だった。


Mexico Cityでは巨大な消費市場を毎日見ることができる。一方で、Mexico経済を支えている製造・輸出のかなりの部分は、ここから遠く離れた北部や西部で動いている。


前回TokyoTacosで「Mexico City Marketはどこまでなのか」を調べたときもそうだったが、Mexicoは一つの市場として見ると分かりにくい。どこで売るのか、どこで作るのか、どこで調達するのか、どこで意思決定するのか。それぞれ地図が違う。


だから今回の134%増というニュースから私が持ち帰ったのは、「Mexicoの電子産業がすごい」という結論ではない。むしろ次に知りたいのは、Chihuahua、Baja California、Jaliscoで、具体的に誰が何を作っているのか。そして、その会社たちは何をMexico国内で調達できず、何を海外から買っているのか、ということだ。


そこを企業単位まで掘っていけば、日本企業にとってのMexicoは、ニュースの中の巨大市場ではなく、実際に話をしに行ける相手のリストに変わるかもしれない。TokyoTacosでも、こうしたMexico側の企業・市場・調達先を具体的に追うリサーチを今後増やしていきたい。


参考資料・出典

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Mexico City–based Market Test & Story Production Studio

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