なぜ今メキシコ旅行?日本人旅行者17%増、現地で見える旅の変化

「最近、日本人がメキシコに来ることって増えているのだろうか?」
メキシコシティで生活し、日本から来る旅行者をアテンドしていると、僕自身かなり人が増えている感覚がある。観光だけではない。仕事で来る人、食や酒を掘りたい人、普通の観光ツアーでは行きにくい場所へ行ってみたい人もいる。
感覚だけなら「増えている気がする」で終わる話だが、2026年のメキシコ政府の数字を見ると、実際に日本からメキシコへ来る流れは伸びている。では、いま日本人はメキシコで何を見ようとしているのだろうか。
メキシコへの日本人旅行者は17.1%増
メキシコ観光省(Secretaría de Turismo)によると、2026年1〜6月にメキシコへ空路で入国した外国人観光客は約1,076万人。その中で日本市場は前年同期比17.1%増だった。
同じ期間にメキシコを訪れた国際観光客全体は前年同期比4.6%増だった。集計範囲が異なるため単純比較はできないが、日本市場の17.1%という伸びは目を引く。さらに6月だけを見ると、日本からの旅行者は前年同月比131.7%増だった。
6月の131.7%増はワールドカップの特殊要因
2026年6月は、メキシコが開催国のひとつとなったFIFAワールドカップの開催月だった。メキシコ観光省自身も、この月の外国人旅行者の動きについてワールドカップによる需要を背景として説明している。
だから131.7%を、そのまま「日本人のメキシコ人気が恒常的に2倍になった」と読むのは違う。むしろ面白いのは、特殊要因の強い6月だけではなく、1〜6月を通しても17.1%増えていることだ。
メキシコ旅行は「カンクンだけ」ではない
日本で「メキシコ旅行」と聞くと、カンクンのビーチや巨大なピラミッドを思い浮かべる人は多いと思う。もちろん、それらは今も強い目的地だ。
ただ、実際に僕のところへ来る相談を見ていると、旅行の目的はもっと細かく、時にはかなりコアだ。
テオティワカンの遺跡をじっくり見たい。
プエブラやグアナファトまで足を伸ばしたい。
国立人類学博物館を日本語で理解したい。
食を目的に店や市場を回りたい。
テキーラやメスカルをもっと知りたい。
仕事や結婚式の予定に合わせて移動を組みたい。
さらに、テマスカルを体験してみたい、地域で儀式を行う人に会ってみたい、といった相談まである。

メキシコ州では州観光当局自身が、テマスカルやカカオのセレモニー、ホリスティックな体験を組み込んだ観光体験を紹介している。テマスカルはナワトル語に由来する蒸気浴の文化で、地域によっては薬草や伝統的な世界観とも結びついている。

僕自身も、メキシコ州でセレモニーを行う人のもとへ行きたいという依頼に同行したことが何回かある。こういう旅は「おすすめ観光地10選」からはなかなか出てこない。現地にいる人と一緒だから成立する旅もある。
ハニツィオ島まで行くと、メキシコはさらに深くなる
僕がこれまで行った場所の中でも、ミチョアカン州パツクアロ湖に浮かぶハニツィオ島(Isla de Janitzio)は、メキシコの地域文化の厚さを感じる場所のひとつだった。ここはディズニー映画『リメンバー・ミー』のモデルとなった場所のうちの1つでもある。

島には先住民プルヘペチャの文化が残り、とりわけ死者の日の「Noche de Muertos(死者の夜)」で知られている。ミチョアカン州文化当局も、ハニツィオのプルヘペチャ・コミュニティがこの伝統を長く受け継いできたと紹介している。
こうした場所は、単に写真を撮って次へ移動するより、その土地で何が大切にされているのかを知ってから行った方が面白い。メキシコ旅行は、メキシコシティ、カンクン、テオティワカンだけでも成立する。でも、興味があればそこからさらに奥へ行ける。

実は日本とメキシコは400年以上つながっている
では、なぜ日本とメキシコの間にはこれだけ人や文化の往来があるのだろう。調べてみると、両国の接点はかなり古い。日本国外務省は、日墨交流の始まりを1609年まで遡って紹介している。
1609年、フィリピンからメキシコへ戻る途中だったロドリゴ・デ・ビベロ一行の船が千葉県御宿沖で遭難し、地元の人々に救助された。翌1610年、一行は幕府が用意した船でアカプルコへ向かった。さらに1888年に結ばれた日墨修好通商条約は、日本にとって西洋諸国との最初の平等条約だった。
しかもロドリゴ・デ・ビベロは、現在のプエブラ州テカマチャルコの出身。テカマチャルコと御宿町は2013年から姉妹都市関係にあり、2023年には10周年を祝っている。日本とメキシコは遠い。でも、関係の薄い国ではなかった。
メキシコ人の日本旅行も過去最高へ
そして、この話でもうひとつ面白いのが逆方向だ。日本に来る外国人でメキシコ人が一番多いわけではない。人数では韓国、中国、台湾、米国などの市場がはるかに大きい。ただし、メキシコから日本へ向かう旅行市場の伸び方はかなり目立っている。
日本政府観光局(JNTO)の2026年統計では、1〜4月のメキシコからの訪日外客数は7万6,600人で前年同期比35.5%増。1月は63.6%増、2月は42.5%増、3月は69.7%増だった。さらに2026年6月、7月、8月はいずれも、メキシコ市場として各月の過去最高を記録している。
日本人がメキシコへ行く。メキシコ人も日本へ行く。1万キロ以上離れた二つの国の人の移動が、両方向で強くなっている。400年以上前から続く関係の上で、2026年にまた人の往来が大きくなっていると考えると、数字の見え方も少し変わってくる。
初めてのメキシコから、コアな旅まで
初めてメキシコへ来るなら、もちろん王道からでいい。メキシコシティには国立人類学博物館、歴史地区、市場、ローマ地区やコンデサがある。そこから約50km離れればテオティワカン。さらにプエブラ、少し長い旅ならグアナファトやサン・ミゲル・デ・アジェンデまで、同じ「メキシコ旅行」でも景色も歴史も食文化もかなり変わる。
僕自身、テオティワカンには何度も行っているが、それでも行くたびに新しい発見がある。一方で、ハニツィオ島のような地方へ足を伸ばしたり、食や酒をテーマにしたり、地域の文化やセレモニーに触れたりする旅もできる。
大事なのは、全員に「ディープなメキシコ」を押しつけることではないと思う。初めてなら王道を安心して回る。もう少し知りたければ一歩奥へ行く。目的が明確なら、その人の興味から旅そのものを組み立てる。メキシコは、その振れ幅がかなり大きい国だ。
TokyoTacos View|「観光地」ではなく、旅の目的から組み立てる
17.1%という数字だけなら、観光統計のニュースで終わる。僕にとって面白いのは、その数字の向こう側で「メキシコへ行って何をしたいか」が細かくなっていることだ。
メキシコは、日本から遠い国ではある。でも、日本と関係の薄い国ではなかった。そして今、日本から来る人が増え、逆方向のメキシコから日本への旅行も伸びている。
僕は、距離が縮まるというのは飛行時間が短くなることではなく、相手の国を知りたいと思う理由が増えることなのかもしれないと思う。食から入ってもいい。遺跡でも、建築でも、メスカルでもいい。テマスカルや地域文化のような、もう一歩奥のメキシコを見てみたい人もいる。
TokyoTacosが旅をコーディネートするときも、決まったコースに人を当てはめるより、その人がメキシコで何を見たいのかから考えたい。王道のメキシコシティ観光やテオティワカンから、地方へのロードトリップ、食や文化を掘る旅、通常のツアーでは組みにくい同行まで。その「もう一歩奥へ行きたい」に現地側で付き合えることが、僕たちの役割だと思っている。
TokyoTacosでは、メキシコシティ観光やテオティワカン、地方へのロードトリップ、食や酒、地域文化を目的にした旅程設計と現地同行まで全て一気通貫で対応できるので、どのようなプロジェクトでも是非相談して欲しい。




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